【評価】Fugl-Meyer Assessment of Motor Recovery after Strokeについて

 

Fugl-Meyer Assessment of Motor Recovery after Strokeについてまとめます。

脳卒中の関連論文の中で麻痺を評価するスケールとして登場回数が大変多い評価方法です。測定に多少の時間と慣れを必要とします。

方法については、2011年に出版されたFugl-Meyer Assessment of  Sensorimotor Function After Stroke-Standardized Training Procedure for Clinical Practice and Clinical Trials- (臨床現場と臨床研究のための標準化された訓練手順)を参考に出来るだけ詳細に記述していきます。

 

目的

脳卒中片麻痺患者の回復具合を評価します。

 

対象

全ての年齢層の脳卒中患者に対応できるように開発されました。

方法

この記事ではとりあえず下肢評価のみです。後日、上肢その他を充実させます。

 

Fugl-Meyer Assessment of Sensorimotor Function After Stroke-Standardized Training Procedure for Clinical Practice and Clinical Trials-. Stroke. 2011 の下肢評価方法の部分の和訳。和訳は筆者(アポロン)による。

Ⅰ.腱反射

手順
①検査肢位は背臥位もしくは座位です。
②膝蓋腱反射とアキレス腱反射を実施します。
③まず、非麻痺側から実施し、その後麻痺側を検査します。

スコアリング(最大4点)
0:反射が全く生じない。
2:反射活動が確認できる。膝蓋腱とアキレス腱のそれぞれに点数づけする。

ⅡA.屈曲共同運動

手順
①検査肢位は背臥位です。
②非麻痺側から始めます。
③麻痺側の検査の際には、他動関節可動域をそれぞれの関節で確認しておきます。
④まず、股・膝・足すべて伸展させた状態から始めて次のように指示を与えます。『あなたの膝を胸に持っていき、つま先を上にあげてください。』この時、セラピストは患者さんの足りない運動についてアドバイスを与えることが出来ます。
⑤3回実施した内、もっともよく出来た動きを評価します。

スコアリング(最大6点)
0:全く運動を起こせない。
1:一部運動可能。
2:全部運動可能。
股関節・膝関節・足関節それぞれについて点数付けします。

ⅡB.伸展共同運動

手順
①検査肢位は側臥位です。
②非麻痺側から始めます。
③麻痺側の検査の際には、他動関節可動域をそれぞれの関節で確認しておきます。
④股関節・膝関節屈曲90度、足関節は背屈位から開始します。
⑤次のような指示を与えます。『つま先を下に押し、そして脚を下と後ろに押してください。』
⑥重力の影響でなく患者自身の筋力発揮が出来ていることを確認するため内転運動に軽い抵抗をかけましょう。
⑦3回実施した内、もっともよく出来た動きを評価します。

スコアリング(最大6点)
0:全く運動を起こせない。
1:一部運動可能。
2:全部運動可能。
股関節・膝関節・足関節それぞれについて点数付けします。

Ⅲ.組み合わされた共同運動(座位)

3a. 90°以上の膝関節屈曲動作

①まず、膝が椅子につかない状態で足底を床に付けて、座ります。膝は90°膝関節屈曲位よりもわずかに伸展位にしておく。下腿後面筋はストレッチされないように気をつける。摩擦を軽減させるため、靴を脱ぎ靴下を履いた状態で検査する。
②非麻痺側から始めます。
③検査の前に、麻痺側は関節可動域を確認しておきます。
④次のような指示を与えます。『踵を後ろに引いて椅子の下に入れてください。』
⑤3回実施した内、もっともよく出来た動きを評価します。

スコアリング(最大2点)
0:自発的な運動が全く生じない。
1:軽度膝関節伸展位から運動を引き起こせるが90°以上の屈曲は困難、また、股関節の屈曲が生じてしまう。
2:膝関節の屈曲が90°以上可能。

3b.足関節背屈

①まず、膝が椅子につかない状態で足底を床に付け座ります。下腿後面筋はストレッチされないように気をつけましょう。
②非麻痺側から始めます。
③検査の前に、麻痺側は関節可動域を確認しておきます。
④次のような指示を与えます。『踵を床につけたまま、つま先を持ち上げてください。』
⑤3回実施した内、もっともよく出来た動きを評価します。

スコアリング(最大2点)
0:自発的な運動が全く生じない。
1:不完全な背屈が生じる。(踵は必ず床についた状態で確認しなければならない。)
2:正常な足背屈動作が可能。(正常とは、踵が床についたままアクティブにfull range動かせること)

Ⅳ.分離運動

4a.膝関節屈曲

①検査肢位は、股関節は伸展0°の立位です(もしくは、0°が難しい方は、出来るだけ0°に近い状態)。検査する下肢は、股関節0°で膝関節を軽度屈曲させ、つま先が少し地面に付く程度にします。検査者はバランスを保つための介助を行うことができます。また患者はテーブルに手を付いておいても構いません。
②非麻痺側から始めます。
③検査の前に、麻痺側は関節可動域を確認しておきます。
④次のように指示を与えます。『股関節を後ろに保ったまま、踵でお尻を蹴ってください。』
⑤3回実施した内、もっともよく出来た動きを評価します。

スコアリング(最大2点)
0:股関節屈曲なしに膝関節屈曲が出来ない。
1:股関節屈曲なしに膝関節屈曲運動を開始できるが90°困難、もしくは、動作後半で股関節屈曲が生じる。
2:股関節を伸展位に保ったまま、膝関節を90°以上屈曲可能。

4b.足関節背屈

①検査肢位は、原則股関節は伸展0°の立位ですが、開始肢位で既に足関節背屈運動が制限される場合には、股おおよそ股関節屈曲約5°程度まで下肢を前方に位置させ、下腿後面筋を伸長できるようにします。膝関節は必ず完全伸展位にしてください。検査者はバランスを保つための介助を行うことができます。また患者はテーブルに手を付いておいても構いません。
②非麻痺側から始めます。
③検査の前に、麻痺側は関節可動域を確認しておきます。
④次のように指示を与えます。『膝関節を伸展させ、踵を床に着けたまま、つま先を挙げてください』
⑤3回実施した内、もっともよく出来た動きを記録します。

スコアリング
0:自発的な運動を起こすことが出来ない。
1:部分的に運動可能。(膝関節伸展位)
2:膝伸展し踵を床に着けた状態で足関節背屈がフルで可能。

Ⅴ.正常反射(座位)

※この項目は、これまでの検査において満点もしくは0点のスコアとなった患者にだけ適用します。
検査者は、膝蓋腱反射とアキレス腱反射、膝関節屈筋群を素早く伸張し反射が亢進しているかそうでないかを記録します。

スコアリング(最高点2点)
0:少なくとも3つのうち2つが明らかに亢進している。
1:1つの反射が明らかに亢進している、もしくは、少なくとも2つの反射が陽性。
2:少なくとも1つ陽性で過活動が無い。

Ⅵ.協調運動/スピードテスト-座位

①検査肢位は開眼座位です。
②検査側の踵を反対側の足首に置きます。
③非麻痺側から始めます。
④検査の前に、麻痺側は関節可動域を確認しておきます。
⑤次のような指示を与えます。『あなたの踵を足首から膝まで、踵をしっかり脛につけたまま、出来るだけ素早く動かしてください。足首→膝→足首を1セットとして、これを5回実施する時間を測定します。』
⑥非麻痺側は、アクティブに動かせる最大の可動域を麻痺側の比較に利用してください。もし麻痺側下肢のアクティブな関節可動域が明らかに非麻痺側よりも小さな場合には、スピードの点数は0にしてください。
⑦同じ動きを麻痺側下肢で繰り返します。非麻痺側下肢と麻痺側下肢、両方のタイムを記録します。動作時の振戦や測定障害についても観察してください。
⑧注意点:基底核・視床・小脳など振戦や測定障害を引き起こす脳卒中との判別のために、この項目があります。脳卒中患者の大部分の病変はMCA支配領域や脳底動脈支配領域に分布しており、そのような場合スピードの低下は起きても振戦や測定障害は生じない。もし患者さんが完全麻痺の場合には、顔面・声・上肢などで見られるかもしれない振戦・測定障害を見落とさないようにしましょう。もし、そのような兆候がなければこれらの項目に2点をつけ、スピードは0点とします。

スコアリング
振戦(最大2点)
0:明らかに振戦がある。
1:軽度振戦
2:振戦なし

測定障害(最大2点)
0:明らかな、もしくは、unsystematicな測定障害
1:軽度もしくは、systematicな測定障害
2:測定障害なし

スピード(2点)
0:非麻痺側下肢よりも6秒以上長くかかる
1:非麻痺側より2~5.9秒長くかかる
2:2秒以内の差

特性

検査方法 観察
必要時間 30分以上
必要な機器・環境

テニスボース、小さな球状容器、腱反射ハンマー

患者が自由に動ける十分なスペース(出来れば静かでプライバシーを確保できる)

必要なトレーニング マニュアルをしっかり読む
コスト 無料

臨床上重要となる変化量

(Sheltonら、2001)

上肢のFMAが10ポイント改善することで、 退院時FIMが1.5 points上がります。
下肢FMAが10ポイント改善することで、退院時FIMが1.9 points上がります。

カットオフ

(Duncanら、2000)

mRS(modified Rankin Scale)により分類された6ヶ月時点でのアウトカム一覧

 

mRS 0 1 2 3 4 5
Fugl-Meyer 99.31 91.76 82.94 62.58 39.15 16.69
NIHSS 0.07 0.78 2.06 3.93 7.94 18.71
Barthel index 85.38 70.12 54.23 29.38 8.68 1.67

 

信頼性(そのテストが安定していて正確であるか)

内部整合性

(Linら、2004)
優れた内部整合性(α= 0.94〜0.98)が認められています。

再テスト信頼性(同一測定者が同一被験者にテストを行った時に同じ結果になるか)

(Platzら、2005)

運動スコア測定において、優れた再テスト信頼性が確認されました。(ICC = 0.97)
感覚スコア測定において、優れた再テスト信頼性が確認されました。(ICC = 0.81)
他動関節可動域運動において、優れた再テスト信頼性が確認されました。(ICC = 0.95)

検者内・間信頼性(同じ人が誰にやっても、異なる人が同じ検査をやっても同じ結果になるか)

(Duncanら、1983)

すべてのカテゴリにおいて優れた検者内信頼性が確認されています。
総得点:r = 0.98-0.99
上肢 :r = 0.995-0.996
下肢 :r = 0.96
感覚 :r = 0.95~0.96
可動域・疼痛:r = 0.86-0.996
バランス  :r = 0.89-0.98

(Page SJら、 2015)
上肢のFMAについて、優れた検者間信頼性(ICC = 0.95)があることが確認されています。 

妥当性(そのテストが測定すべきものを測定しているか)

基準関連妥当性

併存的妥当性(他のテストとどの程度関連性があるか)

(Malouinら、1994)

MASの総合スコアとは優れた相関がありました。(r = 0.96)
MASの座位バランス項目とは不十分な相関でありました。(r = -0.10)

(Nadeauら、1999)

感覚サブスコアとは歩行速度とは相関はほぼありませんでした。(r=0.05)

トータル運動スコアと歩行速度は優れた相関がありました。(r=0.61)

予測的妥当性(テスト後の変化等をどれだけ適切に予測できるか)

(Duncanら、1992)

脳卒中発症5日後の運動・感覚スコアは、発症6ヵ月後の運動回復の最も強い予測因子でした。

構成概念妥当性(テストしようとする概念をどれだけ適切に反映しているか。 )

(Maoら、2002;Sheltonら、2000)

急性期脳卒中において、Barthel indexやFIMと優れた相関がありました。

(Hsiehら、2009)

慢性期脳卒中において、Action Research Arm Test、Wolf Motor Function Test-TIME、Wolf Motor Function Test-Functional Ability Scaleの間に優れた相関がありました。

また、FIMモータースコアとも適切な相関がありました。

応答性(変化した時にその変化を確認できるか)

(Maoら、2002)

バランススコアにおいて、優れた応答性を認めています。 

床・天井効果

(Linら、2004)

感覚検査のサブスコアには天井効果が観察されています。

(Gladstoneら、2002)

手および下肢のサブスコアに天井効果を認めています。

(Maoら、2002)

バランススコアにおいて床効果が報告されています。脳卒中後14日目にその効果は強まり、実に29.3%の参加者が最低スコアの基準を達成できませんでした。

 

推奨度

米国理学療法士協会の脳卒中専門部会は、急性期~慢性期、また入院、外来、看護施設など時期と場所を問わず、Fugl-Meyer Assessmentの利用を強く推奨しています。また、学生にこの評価方法を教育すべきであり、介入研究での評価指標として強く推奨しています。

 

Fugl-Meyer Assessmentについてまとめました。今回は下肢のみですが、本来なら上肢や体幹など測定項目は多岐に渡ります。

以下の歩行予後予測のためには、下肢測定のみで十分ですので利用してみてはいかがでしょうか?

脳卒中患者の歩行予後予測について

2017.04.23

 

 

 

 

 

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