理学療法関連のCPRまとめ

 

こんばんは。アポロンです。

 

本日はCPRについてまとめてみたいと思います。

CPRとは?

さっそくですが、みなさんCPRってご存知ですか?

心肺蘇生法のCPRでは無いですよ。ここでいうCPRはClinical Prediction Rulesの略語です。

臨床予測ツールといいます。

 

これ、どういうものかというと、日常の理学療法の診療中に確認できるような症状・徴候などを統合して、診断、予後予測、治療に役立てようというものです。厳密には、”診断”は医師にみ許された行為ですので、”診断”ではなく、理学療法診断・判断とでも解釈してください。

 

現在は、医師による治療のみならずリハビリテーションにも根拠・結果が求められている時代ですよね。社会保障の財源が厳しい時代においては、リハビリテーションにも効率性が求められることは仕方がないことなのでしょう。EBP(Evidence Based Physical therapy)が求められています。

 

日本理学療法士学会のウェブサイトには、以下のように書かれています。

理学療法は日本の未来。エビデンスに基づく理学療法の確立が、この先の日本を支える大きな可能性であると、われわれは考えています。

日本理学療法士学会ウェブサイトより

 

また、2011年に理学療法士協会が理学療法診療ガイドラインをまとめました。その巻頭言でも以下のようにエビデンスに基づく理学療法の展開という文言が出てきており、やはりEBPを推進したいという意図がみえます。

 

第 1 版(2011)が理学療法士のレベルアップに繋がるとともに,エビデンスに基づく理学療法の展開に寄与できることを祈念しております。

ガイドライン特別委員会 理学療法診療ガイドライン部会

部会長 鈴木 重行

理学療法診療ガイドライン第1版より

 

しかし、実際の臨床場面においてはEBPが浸透しているとはとても思えません。

EBPを推進すると、評価・治療において、ある程度は皆やることが同じようになってきます。

これがEBPを推進するということです。

もちろん細かい枝葉の部分について皆が同じことをするなんて、そんなことはおかしな話で、それをEBPとは呼べません。

しかし、ある特定の疾患・障害・症状の患者がいたとして、評価内容・方法、評価結果をどう解釈するか、その中でどのような治療方法から選択していくか?など基本的な幹の部分については、もっと皆が同じような考えを共有しないと、とてもプロの専門職とは言えないと個人的には思います。

 

CPRは、EBPを進める1つの助けになると思いますので、紹介したいと思います。

 

CPRについて考えるときは、感度・特異度・検査前確率・尤度比・検査後確率・最終確定検査(gold standard)などの理解が必要になりますが、そのためには以下の書籍がおすすめです。主に医師に対して書かれたものですが、診断に必要な知識・概念の意味について理解が進みやすいと思います。というよりもこれより良い本を知りません。もっと良い本あるよっていう方は是非お教えください。お願いします。大学の図書館に行けばおいてあるのではないでしょうか?私も居住地にある大学医学部の図書館に行き閲覧しました。

 

https://www.amazon.co.jp/dp/426000963X

https://www.amazon.co.jp/dp/4822261271

 

こちらに関しては今度まとめてみようと思います。

 

以下のCPRは、John Snyder,DPT氏のウェブサイトからの引用、一部追加・修正しております。

理学療法評価

まず、理学療法診断・判断に役立つCPRの紹介です。

その腰痛は仙腸関節痛かどうか?

1. SI Distraction
2. SI Compression
3. Thigh Thrust
4. Gaenslen’s test (right)
5. Gaenslen’s test (left)
6. Sacral Thrust

Variables Sensitivity Specificity NPV PPV
1+ 1.00 0.44 1.00 0.47
2+ 0.93 0.66 0.96 0.58
3+ 0.94 0.78 0.96 0.68
4+ 0.60 0.81 0.81 0.60
5+ 0.27 0.88 0.72 0.50

 

陽性尤度比 陰性尤度比
1+ 1.78 0
5+ 2.25 0.82

 

上記したテストにおいて仙腸関節由来の疼痛であるかどうかの判断が出来ます。ただし、5つ当てはまっても、陽性尤度比は2.2とそこまで良い数字ではありません。しかし、上記6つのテストを行い全て陰性、もしくは1つしか陽性が出なければ、陰性尤度比0となるため除外診断に有用です。
【参考文献】
1. Laslett M, et al. Diagnosing painful sacroiliac joints: A validity study of a McKenzie evaluation and sacroiliac provocation tests. Australian Journal of Physiotherapy. 2003; 49(2): 89-97.
2. Laslett M, et al. Diagnosis of sacroiliac joint pain: validity of individual provocation tests and composites of tests. Manual Therapy. 2005; 10(3): 207-18.

腰部脊柱管狭窄症があるかどうか?

1. 両下肢に症状あり
2. 下肢痛 > 腰背部痛
3. 立位保持、歩行時に疼痛あり
4. 座位で症状緩和
5. >48歳

Variables 感度 特異度 陽性尤度比 陰性尤度比 陽性的中率
1+ 0.96 0.20 1.20 0.19 44%
2+ 0.68 0.62 1.80 0.51 55%
3+ 0.29 0.88 2.50 0.80 63%
4+ 0.06 0.98 4.60 0.95 76%
5 0.01 1.00 0.99 99%

外来の理学療法診療において、胸腰部のMRI撮影まできっちりと検査が終わっている症例は多くないのではないでしょうか?その中で、腰部脊柱管狭窄症については、上記症状だけでもある程度推測は出来ます。ただし、気をつけてもらいたいのは、上記CPRを用いる対象が属するグループによって検査後確率が大きく異なってくるということです。なんでもかんでも上記を当てはめれば、必ず腰部脊柱管狭窄症があるというわけではなく、例えば、腰痛等の症状を主訴に外来に来ている患者グループと、内部障害で入院している患者グループ、それぞれ、そもそも腰部脊柱管狭窄症の罹患率(有病率;検査前確率)が違いますよね。それぞれのグループに同じCPRを用いても、検査後の確率が変わってしまいます。このことは、しっかりと理解しておかないといけません。

このあたりは、上記で紹介した書籍を読めば理解できるようになると思います。

 

【文献】
1. Cook C, Brown C, Michael K, Isaacs R, Howes C, Richardson W, Roman M, Hegedus E. The clinical value of a cluster of patient history and observational findings as a diagnostic support tool for lumbar spine stenosis. Physiother Res Int. 2011; 16(3): 170-8.

深部静脈血栓症(DVT)があるかどうか

Wells criteria
1. 活動期のがん(治療中もしくは6ヶ月以内に診療が行われている): + 1 Point
2. 四肢の完全・もしくは不全麻痺、また最近の下肢ギプス固定: + 1 Point
3. 3日以上のベッド寝たきりもしくは12週間以内の全身麻酔を必要とした大きな手術: + 1 Point
4. 深部静脈に沿った限局性の圧痛: + 1 Point
5. 下肢全体の腫脹: + 1 Point
6. 反対側と比較し3cmを超える腓腹部の腫脹(脛骨粗面下10cmで計測): + 1 Point
7. 患側優位なPitting Edema: + 1 Point
8. 潜在静脈の静脈瘤ではない側副血行路: + 1 Point
9. 過去にDVT既往あり: + 1 Point
10. 他の疾患がDVTと同程度以上に考慮される: – 2 Points

臨床所見での可能性 点数 検査前確率
High >3 53(43-61)%
Moderate 1-2 17(12-23)%
Low <0 5.0(4.0-8.0)%

 

感度 特異度 陽性尤度比 陰性尤度比
エコー(Compression US) 95(83-100) 95(86-100) 23(18-28) 0.08(0.06-0.10)

これ、有名なCPRですね。上記した簡単な症状・所見にてある程度検査前確率を求めることが出来ます。Highにあるような患者さんがいてエコー検査すらやっていなくて理学療法指示出ているようであれば、是非ドクターに検査をお願いしましょう。エコー検査の尤度比は陽性・陰性ともにかなり優秀な数字です。DVT否定されていなくて大丈夫かなーって迷いながら理学療法やってて、理学療法中に肺塞栓で死亡とかなったら、理学療法士訴えられますよ。経験上、DVTに関しては、医師よりも理学療法士の方が気にかけてますよ。アクシデントになるその前に、しっかりと手続きを踏んで責任を医師の方へ持っていっておきましょう。とても大事なことです。

【文献】
1. Hargett CW, et al. Clinical probability and D-dimer testing: How should we use them in clinical practice? Semin Respir Crit Care Med. 2008; 29(1): 15–24.
2. Wells PS, et al. Value of assessment of pretest probability of deep-vein thrombosis in clinical management. Lancet. 1997; 350: 1795-1798.
3. Wells PS, et al. Does this patient have deep vein thrombosis? JAMA. 2006 Jan 11; 295(2):199-207.

理学療法治療

Manupilationによって改善*が見込める腰痛かどうか?

*改善とは、Oswestry disability index scoreが1週間で30%、1ヶ月後に40%改善、6ヶ月経ってもその状態が持続されていること。
1. 症状発現から < 16日
2. 少なくとも一方の股関節内旋が> 35°
3. 腰椎の少なくとも1つhypomobility(硬い:約1cm動かない)
4. 膝関節以下に症状なし
5. FABQ-W score < 19

Variables 感度 特異度 陽性尤度比 陽性的中率
1+ 1.00 0.03 1.03 46%
2+ 1.00 0.15 1.18 49%
3+ 0.94 0.64 2.61 68%
4+ 063 0.97 24.38 95%
5 0.19 1.00

Validationされた患者の属性

  1. 18-60歳までの患者さん
  2. 主訴は腰痛であり、下肢痛の有無は問わない
  3. Oswestry Disability Questionnaire (ODQ) scoreが少なくとも30%

Validation から外された患者

  1. いわゆる“red flags”の患者は除外されている
  2. 神経根圧迫症状がある患者については除外(SLR test <45°で症状発現、または反射消失、感覚障害や下肢筋力低下が出現している人)
  3. 妊婦
  4. 脊柱や股関節に手術既往のある方

Manupilation

spine-manupilation

これも超有名なCPRですね。4つ以上当てはまった際の陽性尤度比を見てみてください。びっくりする数字です。ただし、上記に当てはまればなんでもかんでもManupilationすれば良いわけではなくて、さっきも書きましたがしっかりとその他の症状・情報などから検査前の確率を推定した状態で上記検査を行って検査後確率を考えてから治療するようにしてください。

これ凄いですよ、当てはまれば1発でよくなります。

図の治療者の左上肢は、肘頭-肩-手で出来る三角形の中に入れています。右手はASISですね。ひねって、ポキっと音がなれば治療完了です。基本的には強く回旋ストレスと加えますが、その途中で音が鳴ればそこで終わりです。劇的に腰痛が改善しています。

ただし、誰でもかれでもむやみやたらにやならいでください。上記の効果が確かめられているのは、上記Validationされた患者さんのみです、除外されている患者さんに対する効果は定かではありません。

【文献】
1. Childs JD, et al. A clinical prediction rule to identify patients with low back pain most likely to benefit from spinal manipulation: a validation study. Ann Intern Med. 2004; 141(12): 920-8.
2. Cleland JA, et al. The Use of a Lumbar Spine Manipulation Technique by Physical Therapists in Patients Who Satisfy a Clinical Prediction Rule: A Case Series. J Orthop Sports Phys Ther. 2006; 36(4): 209–214.
3. Flynn T, et al. A clinical prediction rule for classifying patients with low back pain who demonstrate short-term improvement with spinal manipulation. Spine. 2002; 27(24): 2835-43.

 

股関節のモビライゼーションにより改善する*膝OA患者か?

*改善するとは、実施前に比べsquat test 中のNRSが3割軽減もしくはGlobal Rating of Change Scale scoreが少なくとも3減ること。

1. 股関節や鼠径部に痛みもしくは異常感覚あり
2. 大腿前面痛あり
3. Passive knee flex <122°

4. Passive hip internal rotation<17°
5. 股関節牽引にて疼痛あり

variables 陽性尤度比 陽性的中率
1+ 5.1 92%
2+ 12.9 97%

【文献】:
1. Currier LL, et al. Development of a Clinical Prediction Rule to Identify Patients With Knee Pain and Clinical Evidence of Knee Osteoarthritis Who Demonstrate a Favorable Short-Term Response to Hip Mobilization. Physical Therapy. 2007; 87(9): 1106–1119.

腰椎牽引が有効な腰痛か

1. FABQ-W score < 21
2. 神経症状を含まない
3. 30歳以上
4. 非肉体労働者

Variables 感度 特異度 陽性尤度比 陰性尤度比
2+ 0.83 0.56 1.90 0.30
3+ 0.56 0.86 4.00 0.52

 

【文献】
1. Cai C, et al. A clinical prediction rule for classifying patients with low back pain who demonstrate short-term improvement with mechanical lumbar traction. Eur Spine J. 2009; 18(4): 554-61.
2. Fritz JM, et al. Is there a subgroup of patients with low back pain likely to benefit from mechanical traction? Results of a randomized clinical trial and subgrouping analysis. Spine. 2007; 32(26): E793-800.

体幹の筋トレを行ったほうが良い腰痛かどうか

1. 39歳以下
2. SLR > 91°
3. 正常パターンから逸脱した動きが存在している
4. Positive prone instability test

Variables 感度 特異度 陽性尤度比 陰性尤度比
2+ 0.83 0.56 1.90 0.30
3+ 0.56 0.86 4.00 0.52

 

【文献】
1. Hicks GE, Fritz JM, Delitto A, McGill SM. Preliminary Development of a Clinical Prediction Rule for Determining Which Patients With Low Back Pain Will Respond to a Stabilization Exercise Program. Arch Phys Med Rehabil. 2005; 86(9): 1753–1762.
2. Rabin A, Shashua A, Pizem K, Dickstein R, Dar G. A Clinical Prediction Rule to Identify Patients With Low Back Pain Who Are Likely to Experience Short-Term Success Following Lumbar Stabilization Exercises: A Randomized Controlled Validation Study. Journal of Orthopaedic & Sports Physical Therapy. 2014; 44(1): 6–18, B1–13.

 

 

私の知識もupdateされていない点もあります。よりよいものがあればお教えいただけると幸いです。

 

 

 

 

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