去る3月上旬。認定理学療法士試験(脳卒中領域)を受験してきました。出題された問題について、覚えている範囲で、振り返ってみたいと思います。
試験を受けた感想としまして、日本理学療法士協会は、EBPTを推進し学術活動を推進していける、そして管理者となった者に対しては、最低限の労務管理が出来る理学療法士を認定理学療法士として認めたいという問題が多かったです。
私が受験したのは脳卒中領域でしたが、試験中にその他の分野(運動器など)の問題を読んでみました。1冊の問題冊子に他領域の問題も掲載されているのです。
この傾向は同様であったように思います。むしろ運動器領域では脳卒中よりもガイドラインに関する問題が多かったように見えました。
試験時間は50分、共通領域9問と専門領域15問の合計24問から構成されています。
ちなみに、指定研修を受講した方は分かると思うのですが、講師の先生によっては、重要な部分をしっかりと講義で教えてくれます。重要だと指摘されたスライドに関しては、絶対に覚えておきましょう。試験に出ますよ!!
講師の先生が出ると言った部分を覚えておけば、比較的簡単な試験です。
脳卒中領域を受験されようと思っている方は、私の以下の記事を読めば、少しは助けになると思います。
目次
共通領域の9問について
共通問題においては、以下の点が重要ですのでテキストをよく見直すことをおすすめします。
人を対象とする医学系研究に関する倫理指針
まず、ここは外せません。これから理学療法士の学術活動を積極的に推進していきたいと考えている日本理学療法士協会です。2017年の全国学会のテーマも、学術活動でした。
昨今では、臨床研究の重要性が指摘されています。そして、臨床研究において倫理面に配慮したかどうかは、大変に重要です。ここは絶対に外すことが出来ません。
今回の試験においては、人を対象とする医学系研究における、『介入』という用語の意味が問われておりました。
通常の日常診療を行いました。そこから引っ張ってきた患者さんのデータを利用することも介入研究と言えるのでしょうか?しっかりと確認しておきましょう。
臨床問題(疑問)と研究タイプ(デザイン)の例
バラツキとバイアス
RCTの概略
背部痛の評価・治療推奨グレード
医療安全
医療事故の概念(定義)をおさえておきましょう。医療事故は、患者さんにとって予期しない不利益な事実であるという点が重要です。患者さんが、どう思うか・考えるかという点が医療事故を定義するための重要な要素であるという点をしっかりとおさえておきましょう。
労務職場管理
専門領域の15問
脳卒中ガイドライン
脳卒中ガイドライン2015のリハビリテーションの項目は、よく確認しておきましょう。歩行を良くするためには、下肢訓練の量を多くすることが重要なのであって、ベッド上で筋緊張調整などは推奨されておりません。
半側空間無視
上記しCatherine Bergego Scale(CBS)についてしっかりとおさえておきましょう。臨床で日常的に利用している先生であれば困ることはありません。でも使ったことが無い先生は苦労します。
CBSは、点数が低いほど無視症状が弱い・正常に近いということを表します。そして、観察項目と自己評価項目の2種類あるということを知っておいてください。そして、観察得点から自己評価得点を差し引くと病態失認得点になります。
左半側空間無視がある患者さんがいたときに、体幹回旋させ左を向かせるというのは効果的なのでしょうか?このスライドもしっかりとおさえておきましょう。
半側空間無視の責任病巣についてのスライドもよく確認しておきましょう。
病態失認
病態失認は、神経学モデル(機能局在の障害)と麻痺を認めたくないという心理的防衛機構による双方から生じているという理解がとても重要です。
Pusher症候群
SPV(身体的垂直)とSVV(視覚的垂直)について理解しておいてください。ちなみに、この用語も日本語の注釈はついていませんのでご注意を。
Pusher例では、SPVが非麻痺側に偏倚しているがSVVが正中であるという理解が重要です。そして、Pusher例のSVVは時計回り傾斜です。
Pusherの評価として、SCP(Scale for Contraversive Pushing)があります。SCPは、姿勢・伸展・抵抗という3項目について座位と立位で評価します。姿勢(麻痺側への傾斜)は、0、0.25、0.75、1の4段階で点数を付けます。外転と伸展は0、0.5、1の3段階です。修正への抵抗は、0か1の2段階です。
抗凝固薬と抗血小板薬について
脳梗塞の再発予防のために抗凝固薬と抗血小板薬が重要です。心原性塞栓症は抗凝固療法、ラクナ・アテロームは抗血小板薬です。
ダビガトラン、リバーロキサバン、アビキサバン、エドキサバン、ワーファリン → 抗凝固薬
アスピリン、シロスタゾール、クロビドグレル、チクロピジン → 抗血小板薬
紛らわしい名前ですが、抗凝固薬なのか抗血小板薬なのかをしっかりと確認しておきましょう。
ワーファリンによる治療は頻回な血液検査が必要であることや、INR 2.0-3.0の間に維持しておかないと、脳梗塞・脳出血のリスクが高いなど、難しさがあります。
装具
講習会資料にある、装具は、写真と名前をセットですべて覚えるようにしておきましょう。
まとめ
エビデンスに基づいた理学療法についての学習をしっかりと進めることで合格が近づきそうです。また、指定研修の際に講師の先生が大事だと言う部分には必ずチェックを入れておくことも、学習を効率的に進めるために大切です。
本記事が、受験を予定されている先生方の一助になりますように。それでは。
突然のコメント失礼します。今年認定理学療法士を受験しようと考えております。とてもわかりやすく、参考になりました。「介入」という用語の意味ですが、「研究目的で、人の健康に関する様々な事象に影響を与える要因。」となっておりました。よって通常の日常診療からひっぱってきたデータを利用することは介入研究ではないということでよろしいのでしょうか?
神奈川のPTさんへ
ご指摘のとおりです。
日常診療から取ってきたデータを利用する研究は介入研究とは言いません。
これを理解しているだけで解けた問題が一問ありました。
先生が合格されることを願っています。
返信いただきありがとうございます。
受験前に理解できて良かったです。
今年合格できるよう、頑張っていきたいと思います。
返信のメールが遅くなってしまい申し訳ありませんでした。
今年運動器を受験予定の者です。たくさんの情報ありがとうございます。運動器の情報も覚えている範囲で少しでもわかることがあると助かります。
原田 さま
運動器の試験問題に関しては記載している情報以外に覚えていることがありません。
ガイドラインに関する問題が多かった記憶はあるのですが、すみません。
先生が、合格されることを祈っております。
たくさんの情報ありがとうございました。
とんでもございません。また何かありましたら、よろしくお願いします。
お世話になっております。記事を拝見させて頂きました。非常に参考になりました。ありがとうございます。先生は、呼吸領域についての問題傾向で何かご存知ありませんでしょうか。
はたやん 様
呼吸に関しては、申し訳ありませんが記憶に残っておりません。
お役に立てずすみません。先生が合格することを祈っております。
今年度脳卒中の認定試験を受験します。
装具のお話は既にされていましたが、回復期理学療法の分野でその他に押さえておくべきポイントはありますでしょうか。
宜しくお願い致します。
うりぼー 様
コメントありがとうございます。
私が、大切だと思うことは、必須講習会で講師が大切だと言ったところを漏れなく勉強することです。
私はこれしか勉強しておりません。だけど、ココから外れた問題はほとんどありませんでした。
先生が合格させることを祈っております。
ありがとうございます!