【映画感想】ガタカ

 

1998年に公開されたアメリカSF映画、『ガタカ』。Amazonプライムに登場していたため、約10年ぶりに視聴しました。感想を上手に伝達できるほど日本語は上手ではありませんが、大学時代に見たときよりも、より深い感動を得ることが出来たので、感想を残しておきたいと思います。

 

ガタカのあらすじ

主人公はビンセントという名前ですが、

 

この方ではありません。(分かる人には分かる)

 

以下は、物語の核心についても触れており、ネタバレしております!!これから視聴を検討されている方は、見ないほうが良いと思われます!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ガタカという、一見意味不明な言葉は、本作品では、宇宙飛行士養成訓練施設・宇宙局の名称である。

舞台は近未来。そこは遺伝子の優劣により、人としての優劣が決定されている世界。そのような世界で生まれてくる子どもは、遺伝子操作により身体的ハンディキャップはもちろん、将来有するであろう疾患の可能性までも排除されて産まれてくる。

性格的な問題を有する可能性はあっても、肥満、近視など身体的不便を有することは無いのである。現代社会においても、にわかに話題になっているデザイナーズベイビーが、より洗練された水準で可能になり、かつ、その事が当たり前のこととして受け入れられている社会。

そのような中、主人公ビンセントは、両親が自然な形での出産を望んだため、遺伝子操作を受けずに、この世に生を受けた。出生直後の血液検査によって、即座に、将来かかるであろう疾患の確率と推定寿命が両親に告げられる。

ビンセントは、99%の確率で心疾患を発症し寿命は推定30歳であるという。

このように遺伝子により全て事前に分かりきっている世界において、もちろん職業選択や居住地選択の自由は無い。宇宙飛行士になれるのは、生まれつき宇宙飛行士の職務に耐えられるよう身体構造をデザインされた、VALID(作中では、”適正”と訳されている)な人間だけである。

ビンセントは、残念ながら生まれながらにして、IN-VALID(作中では、”不適正”と訳されている)な人間である。この世界における特殊な状況を端的に現す言葉がある。主人公ビンセントの作中のセリフから借りるならば、今や差別は科学の領域だ』 である。

このビンセントには、弟がいる。名前をアントンという。弟は遺伝子操作され、身体的ハンディキャップに悩まされない人生を歩める人間として生まれてきた。

発育・発達状況は良好、8歳のアントンは既に10歳のビンセントよりも恵まれた体躯を有していた。このような状況から、ビンセントも成長するに連れ、自分が遺伝子のチカラには抗えない、自身が下層階級の人間であることを(認めたくないはずだが)理解しつつ、自宅を飛び出て、生活のためにガタカで一清掃員として働く。

自宅を出る際に、家族写真の中の自分の顔だけ破り捨てて家を出るビンセントの演出が、この社会の不条理、それに対するビンセントの哀しさ・切なさを象徴しているようで、なんともニクい。

しかし、このような遺伝子の優劣には抗えないと自身の体験から悟ってきたビンセントも小さな頃からの自身の夢であった『宇宙飛行士になる』という気持ちを捨てることができなかった。

それこそ、出生直後の血液検査でくだされた、30歳の推定寿命の時期が近づいても(死ぬとされている時期が近づいても)、ひたむきに、諦めず宇宙飛行士になるための、勉学・体力づくりを続けていた。

そのような努力を重ねていても、ガタカ内では、生体認証システムによって頻回に身分を確認され続け、IN-VALIDなビンセントはガタカの主要区画に進入することすらできない。

努力だけでは決して超えられない壁があると悟ったビンセントは、裏ルートから、自身の遺伝子情報を売りたいというVALIDな人間であるユージーン・ジェロームを紹介され、ジェロームの生体サンプルを利用することで自身をジェロームと身分を偽り、ガタカ職員になり、そこから宇宙飛行士を目指すことになる。

ジェロームは、出生前に遺伝子操作を受けこの世に生を受けた人間である。恵まれた体躯・知識を有しており、将来は水泳で金メダルを取ることを期待されていたが、ジェロームはトップに立つことはできず、銀メダルに終わってしまった。

ジェロームは、自分がNo.1になれなかったことに失望し自殺未遂を図り、両下肢麻痺の障害を負い、人生に絶望していたのである。ビンセントは、そのジェロームと入れ替わって(ジェロームの血液・尿・毛髪など各種検体を利用しガタカを欺くことで)、宇宙飛行士を目指して訓練を続けていくことになる。

 

そして見事に、70年にたった1度しかチャンスが無いタイタンという星への打ち上げメンバーとして選抜されるのだが、そのような時、ビンセントの正体を怪しむ上官がガタカ内で殺害されるという事件が起きる。

殺害現場に居合わせたビンセントは、ガタカ内に、不覚にも自身のIN-VALIDな遺伝子情報が詰まった ”まつ毛” を1本施設内に落としてしまう。そのまつ毛の遺伝子情報がきっかけで、本来ガタカ内部にいるはずのない、IN-VALIDな人間(ビンセント)がガタカ内部に出入りしているのではと怪しまれ、容疑者ではないかとして捜査が進む。

ビンセントはVALIDなジェロームとして、ガタカに存在していることになるので、すぐにはビンセントに捜査の手は及ばないが、警察組織は徐々にビンセントを追い込んでいく。ビンセントは果たして、長年の夢を叶え、タイタンへの打ち上げメンバーとして宇宙に旅立つことが出来るのか・・・。

 

感想

全体的に、独特のロートーンで物語は進んでいきます。特別に盛り上がる場面があるわけではありませんが、遺伝子により決定された優劣は大変に強力であることが、各種場面・演出により表現され伝わってきます。

私は10年ほど社会人として働いてきて、自身が特別大した事無い存在であることとか、何かに向かって頑張る者に対して社会は思ったよりも寛容であることとか、多くの眼に見えない差別が人間社会には存在していることとか、自分の子ども・家族は本当にかけがえのない存在であることとか、まぁ色々経験してききました。

そのような自身の経験を受け、この映画を見ると、恵まれない境遇にあるビンセントが決して達成可能とは思えない宇宙飛行士という目標に向かって突き進んでいく姿が本当に眩しく、心が揺り動かされます。

 

努力をする前から、絶対無理だと思える目標に向かって果たしてこんなにも頑張ることが出来るのだろうか。科学がこんなにも発展した世の中、遺伝子・確率のチカラで産まれた瞬間に寿命が分かるような世界で、なぜ、こんなにも目標に向かって邁進することが出来るのか。

現代はガタカの存在する世界ほど、未来のことを見通すことが出来ません。だからこそ、未来に向かって頑張る価値が現代社会には(少なくともガタカのある世界よりは)ある。頑張れる環境があるのに、なぜ頑張らないのかという一種の叱りのようにも、感じました。

どんなに科学が高度に発展したとしても、人間が何かに向かって頑張る姿勢、その態度自体に人間は敬服せざるを得ないのでしょう。それを端的に表しているのが、ラストシーンのレイマー医師とのやりとりです。ビンセントは捜査を手を逃れ、ついに宇宙船に通じる通路に歩を進めます。しかし、その直前に、なんと最後の生体検査が待っていたのです。

この事を知らなかったビンセントは、今までガタカを欺き続けたジェロームの生体サンプル(血液や尿)を何も所持しておらず、ついに宇宙飛行士にはなれないと諦め、尿検査で自身の尿を提出しました。実際に、尿を検出器に入れると、そこには、IN-VALIDの表示。ビンセントがジェロームでなかったと、明らかに気づかれた瞬間です。しかし、レイマー医師はIN-VALID表示をVALIDに変更して彼を見逃し宇宙へ旅立たせます!!!このシーンは、本当に言葉で説明できない素晴らしさがありますので、是非見てみてください!

そして、ビンセントが夢を叶えた同刻、ジェロームは、ビンセントが一生ジェロームとして行きていけるだけの生体サンプルを残し、焼身自殺を図ります。このジェロームの行動は、多くの解釈が考えられる場面でしょうが、VALIDな人間には、IN-VALIDな人間には理解できない苦悩など多かったのでしょうか。

そして、この世に行きていた証が残りにくい焼身という方法をとることで、ビンセントがジェロームとして生きていくこれから先の未来に困ることが無いように自分という存在を無くしたかったのかもしれません。このシーンもなんとも言えない切なさを与えてくれます。

そして、作中に挿入される音楽が本当にこの世界観とマッチしていて、この作品の素晴らしさを引き立てています。

 

本当に本当に良い映画です。

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