脳卒中片麻痺患者の、Buckling knee patternについて説明します。
同様の用語として、stiff knee pattern、extension thrust patternがあります。
(他にもrecurvatum knee patternなどがあります)
3つとも、立脚期の膝関節の動作パターンの種類を示しています。
これらのパターンを提唱した論文の筆頭著者は、スイス生まれの博士(医学)のInès Anne Kramers – de Quervainです。

脳卒中後、2ヶ月程度経過した患者さんの歩行パターンを3次元動作解析装置や筋電図を用いて解析しました。
その結果、歩行速度が遅かった患者(平均0.16m/s)さんの歩行パターンは、大きく2つに分類されるとしています。1つは膝関節が過剰に屈曲してしまうパターン、もう一つは膝関節が過剰に進展してしまうパターンです。
過剰に屈曲してしまうパターンの中に、Buckling knee pattern、stiff knee patternが含まれます。
過剰に伸展してしまうパターンの中に、extension thrust patternが含まれます。
Buckling knee patternは、麻痺側荷重応答期において足関節背屈を伴った膝関節の屈曲が生じるパターンを言います。
stiff knee pattern は、膝関節が30°程度の屈曲位で立脚期を通して動きが無いパターンを言います。
どちらも、荷重応答期から短脚立脚期におけるタイミングでみると膝関節屈曲位になるという同様なパターンに見えますが、遊脚期に一貫して膝関節が屈曲位で固定されていればstiff knee pattern、遊脚期で膝伸展が見られれば、buckling knee patternといえます。
extension thrust patternは、初期接地直後から膝関節が急に進展して、立脚時に過剰な膝関節伸展が生じてしまうパターンを言います。
膝関節伸展パターンは厳密に言うと、もう一つ、recurvatum knee patternがあります。こちらは荷重応答期時点では通常歩行と同様の歩行を呈するが、短脚立脚期に急に膝関節の伸展が生じるパターンです。
〈参考〉
De Quervain IA1, Simon SR, Leurgans S, Pease WS, McAllister D. Gait Pattern in the Early Recovery Period after Stroke.J Bone Joint Surg Am. 1996
大畑光司;歩行再建ー歩行の理解とトレーニングー.2017
コメントを残す